「選ばれる企業」への転換点:高度外国人材の採用を決めるのは英語面接の質だけではない

「選ばれる企業」への転換点:高度外国人材の採用を決めるのは英語面接の質だけではない

ジェトロが2026年7月2日に開催するウェビナーは、企業側が高度外国人材に「選ばれる」立場であることを前提に組まれている。英語での企業プレゼンテーション構築法、面接手法、採用時の実務的ポイントを扱う内容だが、その背景には日本企業の国際採用力が問われている現実がある。かつて「日本で働ける機会」自体が魅力だった時代は終わり、優秀な外国人材は企業のグローバル対応力そのものを見極めて選択する時代に入っている。

参考: 【ウェビナー】高度外国人材向けの英語プレゼン・英語面接に関する勉強会を案内(JETRO)

分析・見解

このウェビナーが示唆するのは、日本企業の採用競争力が構造的に変化している事実だ。2025年の経済産業省データでは、国内企業の68%が「外国人材の定着率に課題」と回答しているが、問題の本質は採用後ではなく採用段階にある。英語面接の技術や企業紹介資料の英語化は表層的な対処に過ぎず、真に問われているのは「なぜその外国人材が自国や第三国ではなく日本のその企業を選ぶべきか」を論理的に提示できる力だ。シンガポールやドバイの企業は既に10年前からこの視点で採用設計をしており、職務記述書の具体性、昇進経路の透明性、異文化チームでの実績提示が標準化されている。対して日本企業の多くは「当社の文化に合うか」という受け身の選考軸に留まり、候補者が評価する側の視点を欠いている。ジェトロがこのテーマで企業向けに研修を設ける背景には、グローバル人材市場での日本企業のポジション低下という危機感がある。実際、LinkedInの2025年調査では、アジア圏の高度人材が就職先として日本企業を「第一選択」とする比率は12%に留まり、シンガポール企業の34%、香港企業の23%を大きく下回る。この差は給与水準だけでなく、企業がどれだけ候補者の視点で自社を語れるか、キャリア設計の選択肢を明示できるかに起因する。英語面接の訓練は必要条件だが、それ以前に「選ばれる理由」の棚卸しと再構築が不可欠だ。

ビジネスへの影響

企業の人事担当者が今すぐ取り組むべきは、自社の採用プロセスを「候補者体験」の視点で再設計することだ。具体的には、職務内容を「やりがい」といった抽象語ではなく成果指標と権限範囲で記述する、過去3年の外国人社員のキャリアパスを実例として提示できるようにする、面接で候補者からの質問時間を全体の40%以上確保するといった実務的変更が有効だ。ジェトロのウェビナーはこうした視点転換のきっかけとして活用できるが、参加後に自社の採用資料と面接フローを総点検し、「この内容で優秀な人材が入社を決断するか」を第三者の目で評価する作業が本質的な成果につながる。グローバル採用は語学力の問題ではなく、企業の戦略的対話力の問題として捉え直す時期に来ている。

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